庭2022年春号No.246
連載-未来を植える人びと-第18回
取材・文=梶原博子


仕立て方でイメージを払拭し
新しい植木の使い方を提案する

東京の造園業を支える植木産地として発展してきた埼玉県川口市安行で、4代にわたり、植木生産と卸売販売を営んできた秀花園。植木づくりの楽しさに目覚め、提案によって植木の魅力を伝える晝間智嗣さんに話を聞いた。

 日本四大植木産地のひとつ、埼玉県川口市安行。今回は、緑化樹と花木苗木の生産と卸売販売、そして造園設計と施工、管理を行う秀花園を訪れた。農園を案内してくれたのは、同社の専務取締役で4代目に当たる晝間智嗣さんだ。
 秀花園は曽祖父が創業し、祖父の代までユキヤナギ、コデマリなどの枝物の切り花で生計を立てていた。
 「祖父の代で、ユキヤナギやコデマリは切り花ではなく苗木生産に切り替えたと聞いています。その後、父の代になるとバブル経済真っ只中で、公共事業やゴルフ場建設の工事が舞い込むようになり、ツツジ類やコニファーの生産を開始します。これらは今でもうちの主力商品で、約5町歩の畑で苗木から生産を行っています」と晝間さんは話す。
 幼い頃から植木に囲まれ、植物に触れてきた晝間さんだが、当初は、家業を継ぐつもりはなかったという。大学では日本文学を専攻し、植木とは無縁の生活を送っていたが、家庭の事情で家業を手伝うことになった。
 「大学卒業後の2年間は、安行の造園会社に修業に出て、庭木の剪定や管理の仕事を学びました。その後、家の仕事を手伝い始めるのですが、最初の頃は嫌で嫌で、仕事の合間に時計ばっかり見ていましたね(笑)。けれどもこの仕事について4年目ぐらいから、だんだんと仕事を覚えて、植物の知識がついてくると・・・記事の続きは、庭No.246の紙版・電子版で。

秀花園は本社がある川口市安行のほか、隣のさいたま市大宮にも広大な畑を持つ。写真は大宮の見沼地区にある苗木畑。
2021年6月に実施された「おおみやストリートテラス」の様子。街中の空きスペースを有効活用して緑化する空間をつくることで歩行者の滞在性や沿道事業者の経済効果を計る実証実験の一環として行われた。秀花園は植木を提供する形でイベントに参加。(写真提供=WOODSMART)
晝間さんが注力しているオージープランツの苗木。
ビニールハウスで管理する苗木。夏場は寒冷紗で熱を遮断し、冬はストーブで寒さ対策を行う。
秀花園の事務所には、苗木の生育をコントロールするための冷蔵庫を設置している。
晝間さんは、コニファーで日陰をつくり、その足元にアセビなど陰樹の苗木を植えて日差しから守るアイデアを実践。昨年から初めて効果が実感できたため今後も続けていくという。
晝間智嗣(ひるま・まさとし)

晝間智嗣
ひるま・まさとし|有限会社秀花園専務取締役。1992年埼玉県生まれ。2014年東洋大学文学部日本文学文化学科卒業。2年間、造園会社で修業した後、2016年秀花園に入社。約15,000㎡の農園で、ツツジ類、コニファー、オージープランツなど約1,000品種の植木生産・卸売販売を行う。
有限会社秀花園(埼玉県川口市)

       【地図から探す植木生産者】

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