庭2019年夏号No.235
連載-未来を植える人びと-第7回
取材・文=梶原博子


設計者の理想を叶える 
プロフェッショナルの技

50年に渡り、栃木県鹿沼市で植木の生産・販売・管理を行ってきた石川環境緑化。時代の先を読み、常にチャレンジを続け攻めの姿勢を貫く石川重明さんに話を聞いた。

 JR宇都宮駅から車を20分程走らせると栃木県鹿沼市に入る。車窓に目をやると、ショベルカーが小山を切り崩す工事現場がいくつも見られ、真っ黒い土が露出している。
 「あれは園芸用として重宝されている鹿沼土と赤玉土を採取しているんですよ。このあたりが産地ですからね。もちろんうちの植木生産にも使っていますよ」。そう語るのは、今回訪ねた石川環境緑化代表の石川重明さんだ。同社は鹿沼市でサクラと落葉高木を中心に植木生産と卸売販売を行う。昭和40年代に創業し、石川さんは2代目に当たる。父が会社を設立したのは高度経済成長期で、日本各地で公共工事が盛んな頃だった。鹿沼市の土壌は関東ローム層に覆われ、黒ボクと呼ばれる肥沃な土が採れる場所で、砂利も少なく水はけも良い土地であったことから植木生産に適していた。最盛期には市内に植木生産者が40社ほどあったという。
 時代は流れ、公共事業の落ち込みや後継者不足などの理由から、鹿沼市の植木生産者は、事業から撤退する者が増えていった。しかし、石川環境緑化は・・・記事の続きは、庭No.235の紙版・電子版で。

石川環境緑化の圃場の枝垂れザクラ。現場の需要に応えられるように、苗木、2m前後の若木から、10mを越す巨木までさまざまな樹高のサクラを育成している。
出荷に備えてサクラを掘り出す。まずはチェーンソーで根切りをする。
ショベルカーで木のまわりを掘削し、その後土から抜いて根回しをする。
石川環境緑化の出荷場。枝垂れザクラは複雑な枝が輸送途中で折れないように、麻縄で細かく固定。枝の扱いには熟練の技が必要となる。
ビニールハウスでは、主に苗木類を育てる。南アフリカ共和国原産の植物の育成と順化にも取り組む。
サクラの圃場。同じ種類を大量に生産し、公共案件や大型の民間の商業施設開発などに備える。
20品種ものサクラを扱うため、オリジナルのプレートをつけて材料検査に備える。「思川」は地元栃木県の在来種。
会社近くの圃場は高木のスギを残し、木陰をつくって、その下に半日陰を好むモミジなどの生産を行う。
石川重明(いしかわ・しげあき)

石川重明
いしかわ・しげあき|石川環境緑化代表取締役。1969年栃木県鹿沼市生まれ。1989年東京農業大学造園学部造園学科卒業。同年家業である石川環境緑化に入社。2006年代表取締役就任。主に落葉高木、中木、低木、一部常緑樹、下草を扱う。約200種類の樹木の生産と卸売販売を行う。グループ会社「ガーデンファーム+S」を設立し、個人邸の造園の設計施工も展開。
石川環境緑化(栃木県鹿沼市)

       【地図から探す植木生産者】

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