昭和の庭園デザインをランドスケープの視座から『昭和の名庭園を歩く』~作庭のおもいとかたちを紐解く~

昭和を代表する作庭家10名による11作品を、ランドスケープアーキテクトである戸田芳樹氏が、ランドスケープの視点から解説し、またその意図を探る本書は『、LANDSCAPE DESIGN』誌に掲載された「デザインを読み解く」に戸田氏自ら加筆し、1冊の本にまとめたもの。

対象となる場所は都内が中心となっており、11作品中10件は東京都。朝倉彫塑館の日本庭園や、田中泰阿弥・蛭田貫二の手がけた成城五丁目旧猪股邸庭園など、邸宅の庭園を始めめ、伊藤邦衛の手がけた大田黒公園や鈴木昌道による清瀬金山緑地公園、野沢清による砧公園(世田谷美術館)など、公共公園の紹介も豊富だ。

表題に『昭和の名庭園』としている中で、ランドスケープアーキテクトならではの感性でチョイスされているのが、小林忠夫による三井倉庫箱崎ビルのランドスケープや、深谷光軌が設計した西新宿の京王プラザホテル北側4号街路だ。特に、小林忠夫とは大学の同級生であったため、著者の学生時代のエピソードが挿入されるなど、共に学んだ視点からの「読み解き」を楽しむことができる。
全編を通して写真や図面がふんだんに取り入れられた本書は、持ち歩きしやすいよう、ヨコ162mm、タテ257mmという縦長のサイズに編集されている。昭和につくられた名造形を、ランドスケープア ーキテクトの視点と共に現地にて楽しみたい
【庭NIWA 235号掲載】

昭和の名庭園を歩く~作庭のおもいとかたちを紐解く~ 
戸田芳樹=著
発行/マルモ出版
1,100円(税別)

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