この数年来続く感染症拡大の影響で人々の自宅滞在時間が増え、自宅の庭に向けられる住まい手たちの意識の変化が見られるようになっている。屋外空間充実の鍵は植栽、そしてその維持管理だ。本書は設計者はもちろんのこと、住まい手である施主にも植栽管理への理解を求める内容となっている。
「エクステリア」に含まれるのは、いわゆる“お庭”や、屋上、ベランダ、バルコニーなどの小さい面積での植栽管理に留まらない。エントランス、アプローチ、壁面緑化、公道に面した駐車場やファサードなど、住空間に付随する外部空間を広く対象としている。
街並みや街路などとの関わりも含めた「維持管理」にフォーカスを当てる本書では、接道条件別の植栽計画が樹種名まで具体的に例示されている。
また日々の「維持管理」についても詳しい。いわゆる剪定・整枝、潅水、施肥など、植物の育成や管理作業について一般的な内容はもちろんのこと、施主が4人家族と想定した場合の12カ月それぞれの作業内容のや役割分担、また施主のライフステージに応じた植栽のリフォームなど、リアルな案が例示されている。
「住まい手の顔が見える」ケーススタディの多さは、設計担当、計画実務者向けの実践的教科書として役に立ち、また施主に対しても説明の助けとなってくれそうだ。
【庭NIWA 249号掲載】
一般社団法人日本エクステリア学会=編著
発行/建築資料研究社
定価/2,970円(税込)