“庭の樹太郎”と呼ばれる程に庭木を照らすことを続け、建築の内と外とを共に考えてきた著者ならではの、庭と室内をつなぐ実践的な施工事例集が本書だ。
冒頭に、著者は照明にまつわるメッセージ文を寄せている。1つ目のタイトルは「庭と住まいをつなぐ明かり」、2つ目は「住まいの暗さと暮らし」だ。通常、屋内照明では影を落とさない明るい照明が好まれることが多い。更に外構と建築の照明は分断されがちだ。「住まいの照明本」であるにもかかわらず「庭」や「暗さ」に重きを置く本書は「、夜の住まい」の心地良さや豊かさに注目している。
本書の見所は、同じ場所、シチュエーションにて照明配置のNG例とOK例が実際に配置され、撮影された写真が並べられているところではないだろうかだ。ふんだんな写真はもちろんのこと、イラストでも分かりやすく解説がされており、体感的に理解しやすい構成になっている。
本書は5部構成となっており、第1部の「外構」から順に、2部では一歩建物に近づいて「庭」を照らし、3部は庭と建物を仕切るガラスなどへの「映り込み」で景色をコントロール、そして4部からは室内に至り「居室」の照明を、5部では「間接照明」を扱っている。
なお本誌の連載“作庭に役立つ素材と技術”で、本号は「アウトドアリビング時代の照明 アウトドアライティング」を取り上げ、P084より大光電機並びに花井氏への取材記事も掲載している。併せてご覧いただきたい。
【庭NIWA 238号掲載】
花井架津彦=著
発行/エクスナレッジ
2,000円(税別)