庭2023年秋号No.252
連載-未来を植える人びと-第24回
取材・文=梶原博子


古木オリーブの価値を広めたパイオニア

関東最大のオリーブ農園を持つことで知られる米屋農園。 20年前に古木のオリーブを日本に輸入し、その価値を広めたパイオニア的存在だ。多種多様な品種とユニークな樹形の木々が豊富な圃場を歩き、その魅力を伝える。

古木オリーブとの出会い
 
都心への玄関口として知られるJR新横浜駅から横浜線で西に2駅進むと鴨居駅がある。駅前の繁華街を抜け、車を15分程走らせると、突如視界が開け、オリーブやヤシがある景色が目の前に飛び込んできた。多種多様な珍しい植物が植えられている光景を見ていると、まるで外国にいるかのような錯覚を覚えるほどだ。「初めてうちの圃場に来られる方は、みんなこの光景に驚かれるんですよ」と笑いながら出迎えてくれたのは、今回訪問した米屋農園の4代目、小川達也さんだ。
 創業は大正6年。曽祖父が植木の卸売業を始め、現在は達也さんの父で、3代目の小川和好さんが代表を務める。米屋農園がある横浜市神奈川区菅田地区は昔から植木生産業が盛んに行われている地域のひとつである。関東ローム層の肥沃な黒土が分布する土地柄で、植木生産や管理に適している。「この辺りは少し高台になっていて、周辺よりも気温が低いので、冬には大雪が降ることもあって、その時は枝が折れないように気を配りますね」(達也さん)。
 3代目の和好さんが家を継いだ頃、・・・記事の続きは、庭No.252の紙版・電子版で。

米屋農園の圃場の中で最も大きい古木オリーブ。
低木として知られるシルバープリペットの巨木。米屋農園には園芸品種も庭木として使えるように仕立てたものがあちこちにある。
躍湿気を好むゾウムシが寄り付かないように、オリーブの幹元は石やウッドチップを敷き込まずに隙間を空けて植えると良い。
樹木を選びに来る人が見やすいように整備された圃場。
躍動感のあるヤシ類が植えられ、南国のムードが漂う米屋農園の入り口。
スペインから仕入れた古木のオリーブ。その他にも小豆島や四国から仕入れた国産のオリーブも豊富に揃う。
小川達也(おがわ・たつや)

小川達也
おがわ・たつや│1980年神奈川県横浜市生まれ。2003年大学校卒業。4年間の会社員生活を経て、07年米屋農園入社。横浜市神奈川区菅田町に点在する10箇所合計3haの畑で、オリーブを中心に約300品種の植木の管理に当たる。農園見学の際はホームページから事前予約が望ましい。
米屋農園(神奈川県横浜市)

       【地図から探す植木生産者】

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