庭2017年冬号No.229
連載-未来を植える人びと-第1回
取材・文=梶原博子


館林から世界へ 
多肉植物の魅力を発信

今やインテリアプランツとして市民権を得た多肉植物。その仕掛け人であり、長く多肉植物の魅力を発信する「サボテン相談室」の羽兼直行さん。近年は、エケベリアの交配と種の保存に力を注ぐ。今回は、3,000種類以上の多肉植物を生産する、群馬県館林市の温室を訪ねた。

東武伊勢崎線・館林駅に降り立つと、しとしとと雨が降り注いでいた。東京は8月の半月以上雨模様だったが、ここ群馬県館林市でも同じく長雨が続いているらしい。5分ほど歩いた所に、今回の目的地「サボテン相談室」がある。
 「館林へようこそ」と言って、温室の中から出迎えてくれたのは、「サボテン相談室」代表で、カクタスクリエーターの羽兼直行さんである。

 CMディレクターからサボテン専門家に転身

 10歳の頃から趣味でサボテンの栽培を始めたという羽兼さんは、20〜40代はCMディレクターとして活躍。世界中を飛び回る多忙な日々を送っていたそうだが、そんな毎日でも乾燥に強い種類のサボテンや多肉植物の栽培はずっと続けていたそうだ。「仕事柄半月〜1カ月くらい留守にすることも多かったんだけど、・・・記事の続きは、庭No.229の紙版・電子版で。

さまざまな雑貨や器に植えられた多肉植物。羽兼さんは、 90年代にサボテンや多肉植物を雑貨と組み合わせたインテリアプランツとして、生活に取り入れる提案をした第一人者。
プランターをハート型に並べた小屋のディスプレイ。
サボテン相談室の入口の小屋の装飾。羽兼さんとスタッフは、日々多肉植物の魅せ方や楽しみ方を実践している。

サボテン相談室の温室で栽培するエケベリアは約2,000種類。この植物に魅せられた羽兼さんは10年前からオリジナルの交配を開始。世界中で名前の混乱が起きていることから、図鑑「多肉植物エケベリア~原種とハイブリッド1000種~」(電波社刊)を発行し、エケベリアの正しい知識と情報発信に努めている。

兎の耳のようなフォルムとふわふわとした綿毛が特徴の多肉植物「月兎耳」。近年の人気が高まっている。
大阪府守口市の道路や公共空間などを活用した社会実験「守口さんぽ」。2023年11月は空き店舗に植物で装飾して、DJイベントなどを開催した。
サボテン相談室のアイコンにもなっている、温室前のビートル。斬新なディスプレイは元CMディレクターならではの演出。
膨大な数のエケベリアは、学名ラベルによる管理が欠かせない。
館林市郊外にあるサボテンの温室。
館林の暑い環境で育ったアガベは、北日本、東北地方の寒い地方でも生育よく育つ。
多肉植物の苗木。直射日光が当たらないように特製の日除けカゴで養生中。
羽兼直行(はがね・なおゆき)

羽兼直行
はがね・なおゆき|サボテン相談室代表。カクタスクリエイター。 1948年群馬県生まれ。小学生の時からサボテン栽培を始める。1969年日本大学芸術学部美術学科卒業。1974年から23年間、CMデ ィレクターとして多くのCM作品を演出。2000年、東京・恵比寿にサボテン相談室オープン。
「サボテンスタイル」(双葉社刊)、「多肉植物エケベリア」(電波社刊)など、著書多数。
サボテン相談室(群馬県館林市)

       【地図から探す植木生産者】

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