必携! 茶室と露地の決定版大辞典、登場『茶室露地大事典』

茶室と露地(茶庭)の関連語彙大辞典が、茶道美術図書出版社である淡交社から満を持して出版された。茶室研究の第一人者である中村昌生監修のもと、茶の湯、建築、庭園に関わる第一線の研究者が50名以上、執筆者として関わっている。

序文では、茶の湯の道具としての茶室が、四畳半以下の“いわゆる”草庵風茶室空間のみならず、書院風、文人趣味の煎茶、立礼席、将軍邸における殿中の茶の間や御成の茶、数寄屋造りの茶室や大名庭園の茶亭など、多様な広がりと発展を見せたことを改めて指摘している。

多様で多彩な、これらの項目に対応する為、総項目数約4,900項目、本文図版約850点、茶室の平面図約150点という膨大な量を収録。写真はカラーでの掲載となっており、視覚的にも非常にとらえやすい辞典となっている。

内容は「桂離宮」「六義園」などの庭園名や、「今日庵」をはじめとした大小・日本全国のさまざまな茶室名、「釘隠し」「鴨居」「塵穴」「蹲踞」などの建築・庭園用語、「千利休」「古田織部」「原三渓」など茶道や庭園に関わる人物名、「前礼」「中立」「地固め」など所作や行為の名称、そして「庭師」「石楠花」「草庵」など一般的でもある用語についても、茶の湯や庭園史的視点での解説が書かれている。

到底読み切れない詳細さで、現時点での研究成果が網羅されているこの辞典。茶室、茶の湯、庭園に関わる人に限らず、日本史を楽しむ全員にとって必携の書になりそうだ。
【庭NIWA 232号掲載】

茶室露地大事典 
中村昌生=監修
発行/淡交社
24,840円(税別)

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