庭2022年冬号No.249
連載-未来を植える人びと-第21回
取材・文=梶原博子
積極的な庭へのアプローチで
造園家の要望を叶える
今や珍しくなくなった自然樹形の雑木を、20年前に造園家と共に仕入先を開拓していった北野緑生園の北野裕之さん。造園家に寄り添い、時代の半歩先を読みながら、これからの庭づくりの骨格となる庭木を供給し続ける。
「作庭家のオフィスと庭(50頁)」で取材した大阪府堺市の荻野景観設計の荻野彰大さんから「事務所の近くに面白い植木屋さんがあるんですよ」と紹介されて、北野緑生園を訪れた。
荻野さんの事務所から車で5分ほどの場所に事務所と植木の圃場を持つ北野緑生園は、主要な仕入先のひとつだという。
「代表の荻野寿也さんのお父様の代からうちはお取引をさせていただいているので、お付き合いはもう30年近くにわたります。当初はゴルフ場用の樹木を買ってもらっていましたが、寿也さんが造園に力を入れるようになって、雑木類を中心にさまざまな木を扱うようになっていきました」と、同社社長の北野裕之さんは語る。
自然樹形の雑木を求めて
北野緑生園のある大阪南部の堺市や羽曳野市、富田林市は戦後に植木の生産、卸売販売などの供給地として栄えた。「大阪や神戸などの都会への植木の供給地としていち早く兵庫県の宝塚市や大阪北西部の池田市で、植木生産が始まり、その少し後に、われわれがいる南大阪でも植木を扱う農家が増えていきました。高度経済成長期の大阪万博あたりは、大阪の都市開発や住宅の宅地開発が活発化した時期で、このあたりでも社を超える植木卸売販売業社がありました。当時は野菜をつくるよりも植木の方が儲かったから作物転換する農家も多かったんです」。同社は北野さんの祖父が創業し、当時は主にマツを扱い、2代目の父親の代は・・記事の続きは、庭No.249の紙版・電子版で。
北野裕之
きたの・ひろゆき|1969年大阪府生まれ。大阪府堺市美原区を中心に、数カ所の圃場で高木、中低木から下草類を育成し、卸売販売を行う。近年は「YURINA OLIVE」というブランドを立ち上げ、スペインから直輸入するオリーブオイルと、堺市の圃場で採れたオリーブから搾ったオリーブオイルの生産販売を行う。オリーブオイルは堺市内の道の駅や以下サイトから購入できる。
北野緑生園株式会社(大阪府堺市)