庭2021年春号No.242
連載-未来を植える人びと-第14回
取材・文=梶原博子


植木販売と造園の2本柱が武器 
生育と管理で理想の木をつくる

横浜と藤沢の中間に位置する戸塚区矢部町を拠点とする河原園。植木の卸売販売と造園の両輪で展開する若き4代目の河原誠也さん。子どもの頃から好きだった植木の世界に飛び込み、現場で経験を積む日々に迫った。

神奈川県横浜市戸塚区で植木の卸売販売と造園工事を行う河原園の河原誠也さんに最初に出会ったのは、東京都内での庭づくりの現場だった。個人で活動する若い造園家たちが集まって住宅の庭づくりを行うプロジェクトの中で唯一、植木卸販売業を営んでいる河原さんが工事に携わっているのがとても印象に残り、後日農園を案内してもらうことにした。
 秋晴れのある日、小田急線湘南台駅に降り立つと、ユニック車に乗った河原さんが迎えにきてくれた。
 「ちょうどうちの農園がある横浜市戸塚区から藤沢市にかけては植木生産が盛んな地域なんですよ」と農場に向かう道すがら、河原さんが土地の特性を教えてくれた。この辺りは商業地と住宅地が集まる横浜に程近く、南に行けば葉山や大磯などの別荘地があり、地の利も良いため植木生産が発展したそうだ。肥沃な関東ローム層の黒ボク土に覆われているため植木の生育に向いていた。 
 現在、河原園は4代目となる河原さんと父の晴良さんの親子二人で2カ所の農園で植木を管理しながら、卸売販売と造園業を半々の割合で行っている。
 「河原家の家系図を辿ると先祖は江戸時代の武士だったようで、そこから数えると自分は15代目に当たります。植木業を始めたのは曽祖父で、昭和初期に植木の苗木をリヤカーの載せて売り歩いていたようです」と河原さんは話す。その後、・・・記事の続きは、庭No.242の紙版・電子版で。

河原園・河原誠也さんの父、晴良さん。神奈川県藤沢市が育成に力を入れているサルスベリの寝回し作業を行う。河原園では麻布で土がこぼれないようにしっかりと固定している。
高木を搬入する様子。
樹高5mの常緑ヤマボウシをクレーンで吊るしながら、枝葉が折れないように慎重に積み下ろしをする河原さん。
圃場では顧客の造園の参考になるように河原さんが良いと思う樹種の組みわせを考慮しながら直植えしている。
横浜市にある河原園の圃場のひとつ。雑木やオージープランツのほか、下草も扱う。
河原園は圃場の近くには高速道路が走り、木々の仕入れや出荷もしやすい。
河原誠也(かわはら・せいや)

河原誠也
かわはら・せいや| 1996年神奈川県横浜市生まれ。 2019年東京農業大学地域環境科学部造園科学科卒業。同年家業である河原園に就職。1.5haの圃場で、落葉広葉樹、常緑樹など雑木とオージープランツを中心とした300~350品種の植木の卸売販売と造園を行う。
有限会社河原園(神奈川県横浜市)


       【地図から探す植木生産者】

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