庭2018年秋号No.232
連載-未来を植える人びと-第4回
取材・文=梶原博子


社員の意欲を高めてビジネスを活性化 
植木生産業界のイノベーター

なだらかで平坦な土地が広がり、降水量が多い、農業の一大生産地・茨城県。肥沃な土壌に育まれた落葉広葉樹を生産するグリーンセンター中村園芸は、シンボルツリーの供給先として建築業界や造園業界から熱い視線が集まっている。新緑が眩しい季節に、巨木に囲まれた農園を訪ねた。

 JR常磐線石岡駅に降り立つと、ロータリーの真ん中に立つ立派なキンモクセイが目に飛び込んできた。この土地にやってきた人びとを歓迎するかのように枝葉を伸ばしている。この大木を街に寄付したグリーンセンター中村園芸の中村顕人さんを訪ねた。
 同社の事務所と圃場は、石岡駅から車で30分ほど走った、小美玉市の田園地帯にある。築100年以上という古民家の事務所で中村さんが出迎えてくれた。今年で創業50年を迎える同社は、中村さんの祖父の代から落葉樹の生産を始めた。2代目が60歳で引退することになり、甥の中村さんが養子となって33歳の時に3代目社長に就任。現在で6期目を迎える。
 中村さんの経歴はユニークで、千葉県浦安市のリゾートホテルでホテルマンとして勤務した後、ワーキングホリデーを利用してオーストラリアに渡る。
 「最初はオーストラリアを一周しようと思い、働きながらお金を貯めて、まとまったお金ができると次の土地に移動してまた働く、というのを繰り返していました。何週間もマグロの遠洋漁業船に乗って働いたこともありますよ」と笑う。     
 そうした生活の中で印象に残っていたのが農業の仕事に関わったことで、中村さんの目には海外で汗水垂らして農業に従事する人びとが輝いて見えたことだ。その後、・・・記事の続きは、庭No.232の紙版・電子版で。

JR石岡駅前ロータリーに植えた中村園芸が寄付したキンモクセイ。
東京の虎ノ門ヒルズのオーバル広場に植えられているケヤキの大木は中村園芸で生産されたもの。
納品日が決まると圃場から木を掘り出し、根巻きをして出荷に備える。
アオダモやアオキなど、顧客のニーズに合わせて最近は山採りの木も扱っている。
事務所周辺の杉林を整備して半木陰の環境をつくり、モミジなどの落葉樹を育てている。
10mを超える巨木は出荷場近くに仮植して写真のようにロープで支えながら立てた状態で出荷日を待つ。
圃場から出荷場へ運ばれたケヤキ。大きな大木も同社ではユニックを器用に使いこなし、社員が一人で出荷作業ができるという。
築100年を超える趣のある古民家を改修した事務所兼自宅。
中村顕人(なかむら・あきひと)

中村顕人
なかむら・あきひと| 1978年茨城県かすみがうら市(旧千代田村)生まれ。高校卒業後は東京ディズニーリゾートオフィシャルホテルに勤務。2011年にグリーンセンター中村園芸の代表取締役に就任。苗木から大径木まで約170種・約200,000本の落葉樹を生産、街路樹やシンボルツリー、建設工事に伴う緑化用樹木、ご家庭用の庭木など幅広く活躍できる樹木を取り扱う。
株式会社グリーンセンター中村園芸(茨城県小美玉市)

       【地図から探す植木生産者】

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