安諸定男の世界観が 垣間見られる自伝的写真集 『日本庭園は夢と心 安諸定男の作庭記』

国内のみならず、アジアやヨーロッパでも活動する造園家、安諸定男の作庭実例とインタビューをおさめた本書。巨石ハンターであり写真家でもある須田郡司氏が2018年に安諸氏と出会ってから撮り続けている作業記録の写真がふんだんに掲載されている。

全国各地の作庭、庭園改修工事からお墓、そして安諸氏の自邸まで18件の作庭事例に加え、島根県、鳥取県、東京都町田市で実施した日本庭園協会の講習会の様子もおさめられている。編笠門や版築土塀の製作過程や、水琴窟・蹲踞の作業工程なども紹介されており、若い庭師にとっては安諸氏の技術や手法を垣間見ることができる学びの多い内容となっている。

巻末では若かりし頃のスナップ写真とともに、生い立ちから見習い時代の話、影響を受けた施主や師匠とのやり取り、庭づくりに対する考え方や努力などが、安諸氏の人柄が感じられる温かみのある文章で事細かに綴られている。

B5判の冊子には露地や石塀、土塀などのディテール写真も掲載されているが、素材の質感までリアルに写し出された、石に携わる須田氏ならではの写真も見どころである。

写真の注釈も含め、全文に英文が併記されており、国内外問わず日本庭園に関心のある人なら誰もが楽しめる構成となっている。
【庭NIWA 248号掲載】

日本庭園は夢と心 安諸定男の作庭記 
安諸定男+須田郡司 著
発行/石文社
定価/5,500円(税込)

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