人と自然が語り合う「風」と「景」の作品集『Revealing Nature』

本書はランドスケープアーキテクト佐々木葉二氏の作品集の第二弾。オールカラーの多様な写真で魅せる18の作品は、4つのチャプター「気配」「時間」「出来事」「共有」に分けられており、場所と人と、そこにまつわるストーリーを感じさせる。

マーク・トライブ、ピーター ・ウォーカーという錚々たる顔ぶれの序文に続く掲載物件から、具体例を紹介しよう。冒頭を飾るのは「さいたま新都心 けやき広場」だ。

地上約7m、面積約1haの人工地盤上に220本のケヤキをグリッド状に植栽した。四季折々で違う表情を見せるケヤキの下では、人々が行き交い、集い、憩い、遊ぶ。完全にフラットな床は、マルシェやフードフェス等のイベントを開催するにもうってつけの場所として、多くの人に愛されてきた。

トリを務める物件は著者が家族のために建てた「白雨館」。柔らかい白と直線的なデザインが印象的なこの住宅には、玄関ホールをはじめとした庭空間がところどころに配置され、現代の坪庭の様相を呈している。一面の白砂が室内とのつながりを感じさせ、またシンプルな石と植栽の配置が静謐な空間に奥行きをつくり出している。

“ランドスケープ”は日本語で「風景」と訳される。著者は「風」を「見えないもの」そして「景」を「見えるもの」であるとし、この2つを形に表し、空間として表現することが、ランドスケープデザインの役割であると述べる。最後のページを閉じた後、「風景」とは何か、改めて思索の庭に遊びたくなるような作品群となっている。【庭NIWA 243号掲載】

Revealing Nature 見えない自然を見せる 佐々木葉二作品集 
佐々木葉二=編著
発行/マルモ出版
定価/2,970円(税込)

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