庭を愛し、永遠を愛した三玲の率直さに出会う『重森三玲 庭を見る心得』

平凡社が2015年12月から刊行している「STANDARD BOOKS」シリーズは、寺田寅彦、野尻抱影、岡潔など科学者たちの随筆集から始まったが、昨年から刊行を開始した“第3期”では、柳田國男や折口信夫と並び重森三玲もそのラインナップに加わった。

三玲といえば『日本庭園史大系』編纂の偉業、そして東福寺本坊庭園を始めとした作庭の数々でその存在感を示しているが、本書ではこの偉業を成し遂げてきた本人の言葉を、まとめて読む機会が得られる。本書に掲載されているのは三玲の50代後半以降、70代までの随筆だ。
それまでの多岐にわたる仕事で培われた自信から紡がれる、三玲独自の美的センスや価値観、歴史観、信念等の言葉は、圧巻とも言うべき力強さを伴っている。

その力強い“率直さ”は、鑑賞者としては近代以降の庭園に対する厳しい評価として現れ、作庭家としては施主へ求める高い見識に冴え渡る。「永遠のモダン」を求め続けたアーティスト・三玲が、庭園という作品に対して「永遠」や「完結した作品であること」「模倣でない、創作であること」にどれだけ信念と拘りを持っていたか、改めて目の当たりにすることができるだろう。
【庭NIWA 240号掲載】

重森三玲 庭を見る心得 
重森三玲=著
発行/平凡社
1,400円(税別)

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