関東エリアの“石”を中心に 造園の歴史を読み解く『東京・石と造園100話』もうひとつのガイドブック

小林章(東京農業大学名誉教授)が、東京巡り、公園巡りのガイドブックとして刊行した「もうひとつのガイドブック」シリーズのひとつが、本書『東京・石と造園100話』だ。

一般的なガイドブックと大きく違う点は、「石」ひとつひとつの個性に向き合い、深掘りしている点だ。浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園、有栖川宮記念公園、隅田公園、清澄庭園など、東京23区の江戸時代から現代までの庭に点在する数多ある石の中から、著者が選りすぐりの「石」を紹介、解説している。

枯滝の石組み、石燈籠、飛石、石碑、石橋、石垣、手水鉢、沓脱石など、造園の中で利用されている石は数限りない。これらに利用されている石材の産地や石質、石に与えられた役割などを詳しく見ていく。花崗岩、安山岩、玄武岩、凝灰岩、粘板岩、緑色片岩などの石材が運ばれてきた物流や、加工方法などの解説を通じて、当時の造形事情も垣間見える。

時代を経るにあたって、ひとつの庭に混在している別の時代に据えられた石もある。本書をもって目の前の石の歴史が見えるようになると、その空間に流れる長い時間をこれまで以上に身近に感じることができそうだ。
【庭NIWA 235号掲載】

東京・石と造園100話 もうひとつのガイドブック 
小林章=著
発行/東京農大出版会
2,000円(税別)

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