これからの“美邸”鍵となるのは植栽や自然『日本の美邸 JAPAN QUALITY』チルチンびと2018年9月号別冊

2018年9月に『チルチンびと』の別冊として『日本の美邸 JAPAN QUALITY』が創刊された。「生成りの美」「白への憧憬」といった建築特徴にフォーカスをあてた特集を組み、創刊号では世界に発信する高級注文住宅11例が掲載されている。

ところが本誌では、その“美邸”たちとは一線を画した特集として「作庭家・古川三盛の世界」と題し、古川氏の庭園観や花々や植栽、自然との交わりにフォーカスをあてて紹介している。巻頭を飾るのは、大阪・観心寺の一隅に佇む、茶室雲心亭だ。

竹林の山脇に静かに佇む、高木と苔に抱かれた茶亭は、数寄屋の技に彩られた平屋で、一見して“豪邸” という趣ではない。そこに至る一筋の道として配されているのは飛石だ。苔むした土塀の屋根には、古川氏が植えた撫子が芽吹き、ますます周囲の緑との一体感を誘っている。古川氏は、この露地の改修に携わった時に茶室に寝泊まりしたのをきっかけに、仕事中の住まいとして、また休暇にも訪れ、今もゆ ったり過ごす時間をもっているそうだ。

掲載された“美邸”の中にも、林に囲まれた住宅を求める声に応えた事例や、伝統的な和室空間から導かれた植栽を持つ住宅などから、緑に寄り添った生活を求めている施主が多いことが伺える。本誌がタイトルに“豪邸”ではなく“美邸”という言葉を使った理由は、そんなところにもあるのかもしれない。これからの住まいに自然との関わりを考えることが求められるのは、間違いなさそうだ。
【庭NIWA 234号掲載】

日本の美邸 JAPAN QUALITY チルチンびと2018年9月号別冊  
発行/風土社
1,800円(税別)

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