「遊具」という言葉からは、一般的に、公園の滑り台やブランコ、鉄棒やアスレチックなど、定型的な「子供の遊具」のイメージが思い起こされるのではないだろうか。しかし建築や造園、ランドスケープデザイナーなど「公園」に関わる仕事をしていても「遊具」に接する時間はあまりないかもしれない。
「こども環境の未来をつくる」をテーマに保育用品、教材教具、遊具から建築を設計するジャクエツは、プロダクトデザイナーの深澤直人とOMOCHI、 TAWARA、HOUSEなど、従来の遊具のイメージを超えた7作の“YUUGU”を発表してきており、いずれもその造形美と、そこから生まれる遊びの多様性が注目されてきた。
本書では全編の撮影に写真家の藤井保が携わり、アートディレクションにグラフィックデザイナーの佐藤卓を迎え、透明感とノスタルジー、子供の時間と大人の遊び心を同時に感じさせる、新しい“遊具” の魅力を収めた作品集を編み出した。
A3用紙ほどの大きな紙面に広がる、優しい空の色や海の深さ、砂の質感の中に立ち並ぶ遊具たちの居住まいと、モノクロームの直線的な都市に配された対比。佐々木寿信による「詩」に誘われ、YUUGUの手触りを感じてみたくなる、アートブックとも言える作品集となっている。
【庭NIWA 233号掲載】
ジャクエツ、深澤直人=著
発行/ジャクエツ
2,300円(税別)