
2019年度日本造園学会賞(著作部門)を受賞した石川初氏の著書が、内容をアップデートし、鹿島出版会より再刊された(初版はLIXIL出版)。旧版の価値をそのままに、各章冒頭に解題を付した本書は、現代の公共空間や都市環境を読み解くためのガイドラインとなるだけでなく、「ランドスケープデザイン」「造園」を改めて問い直すきっかけとなり、“思考する”ことへと導いてくれる。初版はわずか3カ月ほどで重版となったそうだ。
各章に付記された解題を読むと時間が経っていることに気づかされるのだが、論じられている内容そのものに古さは感じられず、ある種の普遍性すら感じられる 。特に最終章の8章「ランドスケープの思考」で論じられている「ランドスケープ・アーキテクチュア」「造園」「ランドスケープ」「思考としてのランドスケープ」は、石川氏が東京農業大学で造園を学び、卒業後に大手ゼネコンのランドスケープ・アーキテクトとして活躍されたという経歴が裏打ちする、丁寧で本質をついた論考となっている。現在では一般的に風景や景観という意味で使われることの多い「ランドスケープ」だが、職能としては「ランドスケープ・アーキテクチュア」となる。その定義づけをしようとすると、ひとことでは言い当てられないもどかしさがあり、それはその本質にも関わるという。
石川氏が取り組んできた多角的なフィールドワークを通じた論考と、ランドスケープそのものへの考察をまとめた本書は、実務における「戦略的な眼差し」を養うための一冊といえるだろう。
新版 思考としてのランドスケープ 地上学への誘い 歩くこと、見つけること、育てること石川 初=著
発行/鹿島出版会
定価/2,860円(税込)








