8つの専門委員会が活動報告/日本エクステリア学会
(左)会場のコミュニティスペース「玄と素」(右)開会の挨拶をする吉田代表理事

日本エクステリア学会は2月18日、第11回活動報告発表会を大阪会場およびライブ配信で開催、同学会の8つの専門委員会が1年間の活動成果を報告した。

開会の挨拶で吉田克己代表理事は「日本エクステリア学会は設立から12年目となり、これまでに9冊の出版物を世に出すことができた。現在でも各委員会では様々な業種の会員が手弁当で知恵を出し合い、エクステリア業界の向上のために活動している。今日はそうした会員の活動報告を聴いてもらいたい」と挨拶した。

活動の発表は、関西品質向上委員会(発表者:山田臣次)、植栽委員会(同:吉田克己)、設計向上委員会(同:石原昌明)、調査部(同:蒲田哲郎)、街並み委員会(同:浅川潔)、技術委員会(同:麻生茂夫)、歴史委員会(同:中澤昭也)、国際委員会(同:蒲田哲郎)の順に行い、1年間の研究成果や途中経過、今後の展望について述べた。

エクステリアに関する学術・技術の進捗発展を図ることを目的に設立された日本エクステリア学会では、会員はいずれかの委員会に参加してエクステリアに関する調査・研究を行い、毎年2月に活動報告発表会を開催している。前回までの会場は全て都内であったが、今回は初の大阪開催となった。会場となったのはユニソン大阪事業所にあるコミュニティスペース大阪『玄と素』(くろとしろ)で、約30人が集まった。同建物はメーカーのショールームだけでなく、ワークショップやイベント開催などを通じた地域融和型拠点としても評価され「2024グッドデザイン賞」を受賞している。

各委員会の主な活動報告内容は以下の通り。

▶開催品質向上委員会

ライティングセミナー(2024年6月10日開催)と庭園見学会(2024年10月16日開催)の報告と、現在取り組んでいるエクステリアの「お困りごと」の内容説明。メーカーカタログには載っていないような事例(気温上昇と植栽の枯れ等)について協議し、将来的には公開を予定している。

▶植栽委員会

「なぜ植栽が必要なのか」「なぜこの位置に植栽するのか」「なぜこの樹種でなくてはいけないのか」といったエクステリアにおける植栽の“機能と効果”について、一般ユーザーを対象にした明確な説明と事例をまとめ、出版を予定している。

▶設計向上委員会

快適な外部空間創出のためのエクステリアの設計について、建築設計者、ユーザーにも内容を理解してもらい、興味を抱いてもらえる具体的内容と事例について協議している。

▶調査部

2024年11月に実施した「エクステリア関係者及びエクステリア設計者の業務の実態と意識の調査」(有効回答420件)の報告。5年前にも同様の調査をしており、その変化にも注目した。大きく変化したのは、エクステリア設計業務において40歳代の女性が増えていたこと。業務内容としては、プレゼン資料作成、WEBデザイン、SNS管理などの業務が増えていた。使用材料は「メーカー製品を積極的に使用」が最も多く、自然素材を好む設計者は多くなかった。その他、具体的業務や転職希望(業界の将来性)などについても実態および意識調査の報告を行った。

▶街並み委員会

「住宅地の街並みエクステリアガイドブック」について進捗状況を報告。街並みという視点からとらえたエクステリアの課題と、その解決方法を軸にしながら事例紹介を行う等、全体の構成を発表した。

▶技術委員会

エクステリア工事における積算について、積算方法とともに具体的な単価を入れた工事費を提示することで、透明化を図っている途中経過を報告。業者とエンドユーザーの信頼関係を基盤とした技術の構築を目指した内容としている。

▶歴史委員会

「エクステリアの施工業者と団体の歴史」についての文献調査の経過報告。戦後のエクステリア業界の発展にともなう業者、資格、団体の相関を発表。同様の研究はこれまで無かったので、会場からも研究成果への期待の声が多かった。

▶国際委員会

Facebook(約1,200人登録)を中心としたディスカッションの様子を報告。

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