国土交通省は、造園施工管理技士を含む国家資格の施工管理技術検定試験に関する不正防止対策を公表した。2021年度の受検申請からチェックリストを導入するなど、実施可能なものから実行するとともに、具体的な対策が必要なものについても、速やかに検討に着手する。
不正受検については、複数の企業で行われ、施工管理技士資格を取得していたことや、不正取得による資格に基づき技術者として配置されたことが、昨年12月以降に明らかになった。これに対して同省は、2020年8月に有識者による「技術検定不正受検防止対策検討会」(委員長:遠藤和義工学院大学副学長)を設置、4回の開催を経て「技術検定不正受検防止対策検討会提言」をとりまとめ、公表した。
提言では、「理解不足による申請ミスの防止対策」と「受検者および証明者による不正の抑止」に分けて対策を講じる。
主な内容は以下の通り。さらに、2021年度中に導入すべき防止対策を「◎」、今後の検討を踏まえたうえで導入するべき防止対策を「○」として整理している。◎の対策については概要をまとめておく。
<理解不足による申請ミスの防止対策>
対策1:証明者による受検者経歴等の根拠資料の保有の周知徹底【◎】
社内のチェック体制、情報管理体制が不十分であることを踏まえ、証明者となる企業に対して、証明者の役割および実務経験の証明に必要となる根拠資料の保有を求めることを周知・徹底する。
対策2:所属企業ごとに実務経験の証明を求める方法への見直し【○】
対策3 :「受検の手引き」の記載内容の改善【◎】
受検者および証明者の理解不足による申請ミスを防ぐため、受検資格や実務経験の要件、実務経験期間の重複禁止、証明者の役割等を分かりやすく記載する。
対策4 :チェックリストの活用【◎】
確認すべき項目や間違いやすい項目をまとめたチェックリストを活用し、受検者および証明者の両者がチェックしたものを提出させる。
<受検者および証明者による虚偽申請の抑止>
対策5:受検申請書類の電子申請化と既存データベースとの連携【○】
対策6 :試験問題の見直し【○】
対策7 :実務経験の証明に関する立入検査の実施【◎】
適切に実務経験の確認が行われていない場合には、速やかに指導、勧告を行うなど是正させる(今年度から実施)。
対策8 :企業名公表【◎】
社会的な影響が大きい案件については、国土交通省から企業名を公表、企業側にも客観的な原因分析結果や再発防止策の公表を求める。
対策9 :企業へのペナルティの明確化【○】
試験問題の見直しも提言
提言には、施工管理技術検定の「実地試験」の見直しも含まれている。その内容は以下の通り。
・実地試験における経験記述については、出題分野や設問内容の多様化を進めることにより、受検者が模範解答例の暗記では解答できないような問題に見直すべきである。
・受検者が経験した工事ではなく、モデル的な工事を設定した上で諸条件下による施工管理の実施方法を解答させる出題方法への見直しなど、受検者が実務経験で得た知識・知見に基づき課題への対策を解答させる内容とするなどが考えられる。
・上記の見直しにあたっては、土木や建築など様々な工事分野を抱える種目においても公平性が確保できるよう配慮するとともに、難問化による得点率の低下などにも留意し、応用能力を測ることができる問題の開発に取り組むことも重要である。
なお、施工管理検定試験は改正建設業法により、これまでの「学科」と「実地」の両試験を「第1次検定」と「第2次検定」に再編するなど、2021年度は新たな検定制度に移行する。
●公表された「施工管理技術検定試験に関する不正防止対策について」の詳細や提言内容は以下を参照。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00012.html