大手住宅メーカーと外構部門のグループ企業8社が共同運営する住宅エクステリアガーデン研究会(JEG、富永斉史会長[積水ハウス])は11月18日、「第7回JEGデザインコンテスト2019 プレゼンテーション大会」を東京・新宿区の四谷区民ホールで開催した。6部門各3作品、全18作品のプレゼンテーションが行われ、グランプリには積水ハウス京都支店の岡村隆行氏と藤原育美氏による「構える家 ひらく緑」が輝いた。
グランプリ作品は、建物の前面道路側(東側)と隣地の貸し駐車場側(南側)に重厚な石塀を庵治石で積み、塀の前後に植栽を施すことで通りにも緑を提供している。コートハウス(中庭のある住宅)の中庭はモミジの樹木とコケなどにより落ち着きのあるプライベート空間をデザイン、西側にもバーベキューやペットなどと遊ぶ生活の庭を設けている。こうした3つの庭を建物の平面計画や断面計画と合わせてバランスよく配置し、住宅と一体となった生活空間をデザインしている。
グランプリ受賞について岡村氏は「かなり緊張して、プレゼンの時には噛んでしまって、(会場の)皆様に(この作品の)魅力が十分に伝わったか不安だったが、このような賞をいただいて大変うれしく思っている」、藤原氏は「この物件は、私が今まで担当させていただいた中でも一番大きくて、たくさんの方に手伝っていただいて完成した、すごく思い出深いものです。このような素敵な賞をいただき、うれしく思っています」とそれぞれ喜びを述べた。
応募1393作品の中から6部門の各最優秀賞を決定
JEGデザインコンテストは毎年開催しており、共同運営している8社(AJEX、ウィズガーデン、住友林業緑化、セキスイハイム、積水ハウス、大和ハウス工業、ナテックス、三井ホーム)から作品を募集、社内選考による1次審査、各社からの代表審査員2人計18人による2次審査を経て入賞作品を決定している。今回は1393作品の応募の中から6部門で計18作品が入賞。入賞作品のプレゼンテーションが18日に行われ、当日審査で各部門の最優秀賞とグランプリを決定した(後藤遵誠審査委員長[住友林業緑化])。グランプリ作品の「構える家 ひらく緑」は「プレミアムエクステリア部門」の最優秀賞であった。また、プレゼンテーション大会にはゲスト審査員として建築家の横内敏人氏が招かれ、特別賞(横内賞)が設けられた。
横内氏は審査講評で「日本はいまでも国土の3分の2は森林であり、森の国といえる。私たちは森の国の家づくりをしていかなければならない」と述べ、住宅における緑の重要性を、会場にいる参加者に改めて投げかけた。
「プレミアムエクステリア部門」以外の各部門の最優秀作品と特別賞、新人賞は以下の通り(敬称略)。
●ハイクラスエクステリア部門最優秀賞:「森を眺め、庭と暮らす」原宏志・白石祐太(積水ハウス倉敷支店)……コートハウスの計画。住宅の背後にある森と中庭を開口部によって視線をつなぎ、どこにいても緑が感じられるように計画。
●スタンダードエクステリア部門最優秀賞:「LCDK」尾崎孝也・前嶋真吾(積水ハウス大分支店)……作品名のCはコート(中庭)。リビング(L)、ダイニングキッチン(DK)の間に積極的に庭を組み入れた計画。
●ガーデン部門最優秀賞:「かすみがうらの森」武田晋介(ウィズガーデン)……「森をつくりたい」という要望に応えた壮大な作品。「自然の心地よさとは何か」を求め、つくりあげている。
●リフォーム部門最優秀賞:「セカンドリビングのガーデンで憩いのひとときを」金子雅彦(東京セキスイファミエス)……既設のウッドデッキを活用してパーティスペースやプライベート空間としての活用を図った計画。緑の成長や生活の変化に対応したリフォーム計画。
●街並み・集合住宅部門最優秀賞:「けやきヒルズ―継承と刷新―」田中佑樹(旭化成ホームズ)・吉岡啓介(グローヴデザインプロダクツ)……保存樹木である3本のケヤキを活かした計画。住宅のゲートのデザインが特徴的である。
●特別賞(横内賞):「晴好雨奇 彩を」磯太朗(住友林業緑化埼玉東営業所)……下草まで丁寧に計画している植栽を評価。
●新人賞:REFORM 庭で過ごす時間:斉藤瑞貴(AJEX)……30歳以下で、エクステリアデザイン歴5年以下の若手デザイナーを対象。2次審査で決定し、プレゼンテーション大会で表彰された。
JEGおよびJEGデザインコンテスト2019に関する詳細は以下のサイト参照
http://jeg-design.com/index.html