センス・オブ・ワンダー   高田宏臣/高田造園設計事務所 
『センス・オブセンス・オブ・ワンダー』(1996年、新潮社)

レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、世界を変えた1冊と言われ、レイチェル没後50年経った今でも世界中で読まれ続けています。僕は25年くらい前の学生時代に読んでいますが、今年の夏に旅先で目にしてまた改めて読みなおしたところ、50年前に書かれたとは全く思えないほどの新鮮さに驚きました。

彼女のエッセイ『センス・オブ・ワンダー』の1節にこうあります。

「子供たちの世界は、いつもいきいきとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性』を授けてほしいとたのむでしょう。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。

妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの『センス・オブ・ワンダー』をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくともひとり、そばにいる必要があります」

心に響く、とても美しい訳文です。

先日、レイチェル・カーソン日本協会会長で、エッセイ『センス・オブ・ワンダー』(新潮社、1996年)を翻訳された上遠恵子さんのお話会に行ってきました。86歳というお年を感じさせない、とてもチャーミングな方で、お話の内容にも感激しました。

上遠さんの、「いのちに軸足を置いた発想、社会」という言葉が印象に残り、私自身改めて、これまでやってきたこと、そしてこれからやるべきことの確信を与えられた思いがいたしました。

『センス・オブセンス・オブ・ワンダー』(1996年、新潮社)
レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 『センス・オブセンス・オブ・ワンダー』(新潮社、1996年)

 

 

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