• 庭の未来へ 

仕事で久しぶりに軽井沢へ行く機会があった。軽井沢には、私の好きなホテルに、「万平ホテル」と「ホテル鹿島ノ森」がある。

万平ホテルはさすがに歴史があるだけに重厚なつくりで、和洋を上手に取り入れた風格の漂う良いホテルだと思う。ラウンジでコーヒーを飲んでいると、タイムスリップしたような心持ちにさせてくれる。

今回、打ち合わせが早く終わって、お昼に美味しい蕎麦もごちそうになったが、少しばかり時間があったので、久しぶりにホテル鹿島ノ森に立ち寄ることにした。

カラマツの並木道を通り抜けると、広くゆったりとした駐車場が見えてくる。その奥に2階建のホテルが姿を現す。車寄せなどの植栽を見ると元々あったと思われる雑木などを数株植えた程度。下草は野芝だけというシンプルなつくりである。ラウンジでコーヒーとシュークリームを注文して、周りを見渡してみると、和も洋もなく、あくまでもシンプルで目に強く入ってくるものがまったくない。主庭を見ると、元々あったと考えられる大きなモミジを数株残した程度、下草は野芝だけだという驚くほどさっぱりしたつくりである。

そんな「なんでもない感じ」が実にいいのだ。

造園された当時の価値観と現在の価値観の中に相通じるものがあるように思える。

時代を超えて相通じる普遍的な価値観がどのように変化していくのか。常に敏感に時代をとらえていくような感性を身に付けていたいものだと思っている。(平井孝幸/石正園)

カフェ前の庭。「なんでもない庭」に心地良さを感じる。

「ホテル鹿島ノ森」ラウンジ前の庭。シンプルな構成の庭が心地良さを感じさせてくれる。