• 庭の未来へ 

これまで保育園、幼稚園、こども園など子どものためのスペースを多く手掛け、手触りのある生き物のような建築を実現してきた象設計集団。その豊かな造形、色彩と素材感に溢れたデザインは子どもたちのエネルギーを引き出し、温かく包みむようだ。
本書には、これまでに手掛けた11の子どもの「家」が収められている。
象設計集団は保育施設ではなく、「家」をつくってきた。
その最初の事例が1997年の「うらら保育園」(東京・葛飾区)である。
「暮らしのうらら」と言われるように、日本の生活文化を大切にしていて、畳や縁側があり、障子や襖で仕切られ、ちゃぶ台で食事をする。
ポニーのいる馬場がシンボルとなっている宮ノ丘幼稚園(北海道・札幌市)では、ランドスケープ・アーキテクトの高野文彰氏と共働で、地形の起伏を生かし、水辺や森、草原の中に赤いベンガラ色の建物が分散する幼稚園をつくった。
「環境とともに子どもを育てる」ので、子どもたちの動きに応じ、園庭も建物も常に変化を加えていると言う。
どの園も段差があったり、隠れる空間があったりと、子どもの心と身体にあった奥行きのある居場所が用意されていて、一般の保育園に見られるようなフラットで管理しやすい箱とは異質なものだ。
本書で述べられているのは、保育園は学校ではなく、子どもが生活する場所なのだということ。
造園家が保育園の庭を手掛けることも多くなってきたが、子どもの生活にふさわしい場づくりのヒントに溢れている。

11の子どもの家 象の保育園・幼稚園・こども園
象設計集団=編
新評論
2,400円(税別)