• 庭の未来へ 

本書は、自宅の庭を出発点として、土壌と人体における微生物の働きを解き明かしている。
著者のモントゴメリーとビクレー夫妻は、荒れ果てた不毛の地だった庭に大量の有機肥料を与え、植物が繁茂する庭へと再生させたことをきっかけに、微生物に興味を抱く。
やがて妻ががんになり、健康と食生活を見直す中で、体内の微生物の働きに注目した。
著者によると、近年、肉眼では見えないため、今まで見過ごされてきた微生物の働きが、急速に明らかになってきたという。
土の中の微生物が植物と共生して、免疫や栄養素の吸収に重要な役割を果たすのと同じように、人の体内では、腸内細菌が栄養素を取り込み、病原体から守っているのだ。
しかし、これまで人類は、細菌や微生物を病原菌ととらえ、ワクチンや抗生物質により排除してきた。
同じように、化学肥料の使用により、肥沃な土壌が失われ、結果的に病害の発生率を上げてきたという。これまでの微生物への攻撃から、共生へと発想の転換を促す革命的な書である。

土と内臓 微生物がつくる世界
D・モントゴメリー+A・ビクレー=著
片岡夏実=訳
築地書館
2,700円(税別)